はじめに
計算ブロックは、はじめにあたえられたヒントを手がかりにしてルールをやぶらないように数字のはいちを決めるパズルゲームです。計算ブロックをはじめてあそぶ人のために、ここでは 4×4 のサイズの計算ブロックについてルールの説明をくわしくします。そのあと、じっさいに例題をといてみます。
説明では、パズルの数字を入れるハコのよこのならびを 行(ぎょう)、たてのならびを 列(れつ) とよびます。それぞれのハコを行と列のばんごうをつかって、ハコ (1,1) のようによびます。例えば次のパズルの色がついているハコは、ハコ (2,3) とよびます。
ルール
計算ブロックのルールは次の 3 つです。ルールをしっかりおぼえて、ルールをやぶっていないか注意しながら数字のはいちを決めましょう。ルールの中にえん算子(えんざんし)ということばが出てきますが、えん算子とは、たし算(+)、ひき算(-)、かけ算(x) などの計算をあらわす記号のことです。
- それぞれの行には 1 から 4 の数字がそれぞれ 1 度ずつ入ります。
- それぞれの列には 1 から 4 の数字がそれぞれ 1 度ずつ入ります。
- 数字とえん算子は太い線でかこまれたりょういき内のすべての数字の和(+)、大きい数と小さい数の差(–)、すべての数の積(×)、大きい数を小さい数でわった商(➗)、大きい数を小さい数でわったあまり(%)をあらわしています。
次の例題のパズルをつかって、それぞれのルールについてくわしく見ていきましょう。
ルール 1
それぞれの行には 1 から 4 の数字がそれぞれ 1 度ずつ入ります。つまり、ひとつの行に同じ数字が 2 回でてくることはありません。
ルール 2
それぞれの列には 1 から 4 の数字がそれぞれ 1 度ずつ入ります。つまり、ひとつの列に同じ数字が 2 回でてくることはありません。
ルール 3
数字とえん算子は太い線でかこまれたりょういき内のすべての数字の和(+)、大きい数と小さい数の差(-)、すべての数の積(×)、大きい数を小さい数でわった商(➗)、大きい数を小さい数でわったあまり(%)をあらわしています。
和(+)
例題のパズルのハコ (1,2) とハコ (1,3) をふくむりょういきには 3+ と書かれています。
これはハコ (1,2) とハコ (1,3) に入る数字を足すと、答えが 3 になるという意味です。1 から 4 の数字のうち、2 つの数字を足して 3 になる組み合わせは 1 と 2 だけです。つまりこのヒントから、ハコ (1,2) とハコ (1,3) に入る数字の組み合わせは 1 か 2 だとわかります。どちらに 1 が入るかはこのヒントだけでは決めることはできません。
大きい数と小さい数の差(–)
例題のパズルのハコ (3,1) とハコ (4,1) をふくむりょういきには 2– と書かれています。
これはハコ (3,1) とハコ (4,1) に入る数字のうち、大きい数から小さい数を引いたら 2 になるという意味です。1 から 4 の数字のうち、引いて 2 になる数字の組み合わせは 4 と 2 または 3 と 1 です。つまりこのヒントから、ハコ (3,1) とハコ (4,1) に入る数字は 4 と 2 の組み合わせか、または 3 と 1 の組み合わせのどちらかだとわかります。どちらの組み合わせになるかは、このヒントだけでは決めることはできません。
積(×)
例題のパズルのハコ (1,4) とハコ (2,4) をふくむりょういきには 12× と書かれています。
これはハコ (1,4) とハコ (2,4) に入る数字をかけ合わせると、答えが 12 になるという意味です。1 から 4 の数字のうち、2 つの数字をかけて 12 になる組み合わせは 3 と 4 だけです。つまりこのヒントからハコ (1,4) とハコ (2,4) に入る数字の組み合わせは 3 と 4 だとわかります。どちらに 3 が入るかはこのヒントだけでは決めることはできません。
大きい数を小さい数でわった商(➗)
例題のパズルのハコ (2,2) とハコ (3,2) をふくむりょういきには 3➗ と書かれています。
これはハコ (2,2) とハコ (3,2) に入る数字のうち、大きい数を小さい数でわった答えが 3 になるという意味です。1 から 4 の数字のうち、わって答えが 3 になる数字の組み合わせは 3 と 1 だけです。つまりこのヒントからハコ (2,2) とハコ (3,2) に入る数字の組み合わせは 3 と 1 だとわかります。どちらに 3 が入るかはこのヒントだけでは決めることはできません。
大きい数を小さい数でわったあまり(%)
わり算のあまりをもとめる計算を剰余(じょうよ)といいます。学校では習わないのでむずかしいと感じる人もいるとおもいます。しかしここまでに出てきた 5 つの演算のことを 代数学のきほん演算 とよび、ひじょうにたいせつな計算です。実は、時間の 18 時を午後 6 時と頭の中で計算するとき、この剰余という計算をしています。18 を 12 でわると答えが 1 であまりが 6 になります。午後 6 時というときには、答えの 1 の方はわすれて、あまりの 6 だけを求めています。またプログラミングをするときにはとてもよく使う計算です。パズルを通してなれ親しんでください。
例題のパズルのハコ (1,1) とハコ (2,1) をふくむりょういきには 0% と書かれています。
これはハコ (1,1) とハコ (2,1) に入る数字のうち、大きい数を小さい数でわったあまりが 0、つまりわり切れるという意味です。1 から 4 の数字のうち、わり算をしてわり切れる数字の組み合わせは 4 と 2 または 4 と 1 または 3 と 1 または 2 と 1 の 4 つの組み合わせがあります。どの組み合わせになるかは、このヒントだけでは決めることはできません。
とき方
ここでは、じっさいに次の例題をといてみます。ただし、とき方はひとつだけではありません。他のとき方も見つけてみましょう。
手順 1
はじめにハコ (1,1) とハコ (2,1) のりょういきに注目します。1 から 4 の数字のうち足して 4 になる数字の組み合わせは 1 と 3 だけです。つまり、ハコ (1,1) とハコ (2,1) には 1 か 3 が入ることがわかりました。しかし、どちらに 1 が入るかわからないので、今はうすく 1 か 3 が入るということをメモしておきます。
次にハコ (1,2) とハコ (1,3) のりょういきに注目します。1 から 4 の数字のうち足して 6 になる数字の組み合わせは 2 と 4 だけです。つまり、ハコ (1,2) とハコ (1,3) には 2 か 4 が入ることがわかりました。しかし、どちらに 2 が入るかわからないので、今はうすく 2 か 4 が入るということをメモしておきます。
次にハコ (1,4) とハコ (2,4) のりょういきに注目します。1 から 4 の数字のうち足して 7 になる数字の組み合わせは 3 と 4 だけです。つまり、ハコ (1,4) とハコ (2,4) には 3 か 4 が入ることがわかりました。しかし、どちらに 3 が入るかわからないので、今はうすく 3 か 4 が入るということをメモしておきます。
手順 2
ハコ (1,4) とハコ (2,4) のりょういきではどちらに 3 が入るのか決めることはできませんでしたが、ハコ (1,2) とハコ (1,3) のりょういきに 2 か 4 が入るということを考えると、どちらに 3 が入るか決めることができます。
場合分けをして考えます。仮に 4 をハコ (1,4) に入れて、3 をハコ (2,4) に入れたとします。
すると、ハコ (1,2) とハコ (1,3) のりょういきには 2 か 4 が入るのですが、どのように入れてみても 1 行目に 4 が 2 回出てきて、ルール 1 をやぶってしまいます。
つまり、ルールをやぶらないようにするためには、4 をハコ (2,4) に入れて、3 をハコ (1,4) に入れないといけません。数字をはいちしましょう。
手順 3
ここまでくると、ハコ (1,1) とハコ (2,1) のりょういきのどちらに 1 が入るか決めることができます。場合分けをして考えます。仮に 3 をハコ (1,1) に入れて、1 をハコ (2,1) に入れたとします。すると、1 行目に 3 が 2 回出てきて、ルール 1 をやぶってしまいます。
つまり、ルールをやぶらないようにするためには、1 をハコ (1,1) に入れて、3 をハコ (2,1) に入れないといけません。数字をはいちしましょう。
手順 4
これ以上数字のはいちをきめることはできないので、もう一度ヒントを使って考えましょう。
ハコ (2,2) とハコ (3,2) のりょういきに注目します。1 から 4 の数字のうち足して 3 になる数字の組み合わせは 1 と 2 だけです。つまり、ハコ (2,2) とハコ (3,2) には 1 か 2 が入ることがわかりました。しかし、どちらに 1 が入るかわからないので、今はうすく 1 か 2 が入るということをメモしておきます。
次にハコ (2,3) とハコ (3,3) のりょういきに注目します。1 から 4 の数字のうち足して 4 になる数字の組み合わせは 1 と 3 だけです。つまり、ハコ (2,3) とハコ (3,3) には 1 か 3 が入ることがわかりました。しかし、どちらに 1 が入るかわからないので、今はうすく 1 か 3 が入るということをメモしておきます。
手順 5
今、ハコ (2,3) とハコ (3,3) のりょういきのどちらに 1 が入るかわからないといいましたが、場合分けをして考えるとすぐに決めることができます。仮に 3 をハコ (2,3) に入れて、1 をハコ (3,3) に入れたとします。すると、2 行目に 3 が 2 回出てきて、ルール 1 をやぶってしまいます。
つまり、ルールをやぶらないようにするためには、1 をハコ (2,3) に入れて、3 をハコ (3,3) に入れないといけません。数字をはいちしましょう。
手順 6
2 行目に注目しましょう。ルール 1 より、2 行目には 1 から 4 の数字がそれぞれ 1 度ずつ入りますが、1 と 3 と 4 はすでに出ているので、ハコ (2,2) は 2 しか入れることができないハコ であることがわかります。
するとハコ (3,2) には 1 が入ることがわかります。数字をはいちしましょう。
手順 7
ハコ (1,2) とハコ (1,3) のりょういきについて場合分けをして考えます。仮に 2 をハコ (1,2) に入れて、4 をハコ (1,3) に入れたとします。すると 2 列目に 2 が 2 回出てきて、ルール 2 をやぶってしまいます。
つまり、ルールをやぶらないようにするためには、2 をハコ (1,3) に入れて、4 をハコ (1,2) に入れないといけません。数字をはいちしましょう。
手順 8
2 列目に注目しましょう。ルール 2 より、2 列目には 1 から 4 の数字がそれぞれ 1 度ずつ入りますが、1 と 2 と 4 はすでに出ているので、ハコ (4,2) は 3 しか入れることができないハコ であることがわかります。
おなじように 3 列目に注目しましょう。ルール 2 より、3 列目には 1 から 4 の数字がそれぞれ 1 度ずつ入りますが、1 と 2 と 3 はすでに出ているので、ハコ (4,3) は 4 しか入れることができないハコ であることがわかります。
数字をはいちしましょう。
ハコ (4,2) とハコ (4,3) のりょういきに注目すると、3 と 4 を足すと 7 になるので、ルール 3 をやぶっていないことがわかります。
手順 9
ハコ (3,1) とハコ (4,1) のりょういきに注目します。1 から 4 の数字のうち足して 6 になる数字の組み合わせは 2 と 4 だけです。つまり、ハコ (3,1) とハコ (4,1) には 2 か 4 が入ることがわかりました。しかし、どちらに 2 が入るかわからないので、今はうすく 2 か 4 が入るということをメモしておきます。
ハコ (3,1) とハコ (4,1) のりょういきについて場合分けをして考えます。仮に 2 をハコ (3,1) に入れて、4 をハコ (4,1) に入れたとします。すると 4 行目に 4 が 2 回出てきて、ルール 1 をやぶってしまいます。
つまり、ルールをやぶらないようにするためには、2 をハコ (4,1) に入れて、4 をハコ (3,1) に入れないといけません。数字をはいちしましょう。
手順 10
3 行目に注目しましょう。ルール 1 より、3 行目には 1 から 4 の数字がそれぞれ 1 度ずつ入りますが、1 と 3 と 4 はすでに出ているので、ハコ (3,4) は 2 しか入れることができないハコ であることがわかります。
おなじように 4 行目に注目しましょう。ルール 1 より、4 行目には 1 から 4 の数字がそれぞれ 1 度ずつ入りますが、2 と 3 と 4 はすでに出ているので、ハコ (4,4) は 1 しか入れることができないハコ であることがわかります。
数字をはいちしましょう。
ハコ (3,4) とハコ (4,4) のりょういきに注目すると、2 と 1 を足すと 3 になるので、ルール 3 をやぶっていないことがわかります。これで完成です。
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